ごあいさつ

北海道英語教育学会会長:笠原 究
(北海道教育大学)

 中村前会長の後を引き継ぎ、8代目の会長となりました笠原と申します。浅学非才の身ではありますが、北海道の英語教育に幾ばくかの貢献ができるよう努力したいと思います。北海道英語教学会の実質的な始まりは、第1回の英語教育論文発表会であったと伺っております。それからおよそ四半世紀の年月が流れました。その間、世界ではタブレットコンピュータ、スマートフォン、YouTube、各種SNSなどが登場し、経済及びコミュニケーションのあり方をすっかり変えてしまいました。それに伴い、英語教育にも不断の変革の波が押し寄せるようになりました。小学校への英語教育の導入、中高での英語による英語授業の実践、入試改革、評価と指導の一体化、GIGAスクール構想、デジタル教科書の登場など、その変化には枚挙のいとまもありません。先生方はこうした変化に対処するために日々奮闘されていますし、児童生徒も新たな指導内容についていけるよう努力しています。  しかし指導内容が膨らんでも、人間の処理能力は簡単には変わりません。変革の中で、あれもこれも身につけさせようとしているうちに、だんだんと教育自体が脅しのようなものになってはいないかと危惧することがあります。変化の激しい世の中に対処できるよう、あれこれと指導するのは理解できます。しかしその中で大切な「学ぶ喜び」が失われてしまわないかと心配になるのです。教育は、これを身につけないと将来大変なことになる、といった脅しであってはいけません。時間をかけて学ぶことは楽しい、だから続けていく、といった態度を育てていかなければならないのです。教育とは「脅し」ではなく「励まし」でなくてはなりません。  北海道英語教育学会は小中高から大学の先生、英語教育に関心のある方々が参加し、忌憚なく話し合いのできる会です。英語を学ぶことの楽しさを子どもたちに伝えるため、お互いが知恵を出し合いながら、自由に意見交換ができる場でありたいと考えております。励ましの教育を作り出していくため、共に手を取り合っていきましょう。